kiuelの節操ない読書歴

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【これからの働き方を哲学する】小川仁志

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著者の小川さんは、NHKでもおなじみ。読んでみたいと思っていた哲学者だ。哲学の中でも「公共哲学」という分野の専門。

もと、フリーターって帯に書いてるけど、その当時の様子も書かれているし、テレビでの”チャラい”イメージは、スタイリストのせいじゃなくて、ご自分の活動軌跡のためか😁

 そもそも哲学とは、既成の概念を疑ってかかり、考え続けることと、この本を読んでわかったけど、自分の働いてる職場でもつくづく感じるのは、考えない人がとても多いってこと。

「考えないことが習慣になってしまう」と小川さんは危惧する。

「考えを深めるのが哲学の特徴」哲学には常に深めていこうとする姿勢があるという。

 小川さんは、働く環境が変わる影響があるものを5つ挙げる。
①AIの出現。ここで「ベーシックインカム」という言葉が出てくるが、これこそ、早く実現してほしいと思っていることだった。

政府がすべての国民に対して、一律に現金を支給する仕組み。

人生100年時代と③加速する少子高齢化社会はリンクしている気がする。働き続けたいと思う人がいる一方、私みたいにベーシックインカムを待ち望んでいる人もいるだろう。でも”働き続ける”ってただ自分の都合だけじゃないのか?これは話がズレそうだからここでは言わない。

④グローバル社会。トランプだった頃は保護主義だったって書かれているけど、バイデンになってグローバル化はどうなるんだろう。やっぱり加速はするんだろう。

⑤社会の“成熟”化。成熟とは、完成の意味じゃない。これ以上、発展も進展もできない、という意味。上げ止まり、です。「ロスジェネ」とか出てくる。

賢明な人や若い世代は

成熟社会を前提としたライフプランやライフスタイルを追求し始めている 

 

 五人の歴史上の哲学者が登場。覚えておいた方がいいだろう。

カール・マルクス 富とは分け合うもので、労働こそが生きがいであると考えた

ヘーゲル 労働によって誇りが芽生え、「ひとかどの人物」になれると考えた

エリック・ホッファー 他人がなんと言おうと、自分のために働くべきだと考えた

ハンナ・アーレント 社会活動が重要だと述べ、労働とそれ以外の活動とのバランスを重視した

二宮尊徳 まわりの恩に報いるために働くと考えた

ホッファーは共感が持てるなー。彼はいい仕事とは「自由、閑暇、運動、収入のバランスがとれている」ものという。運動は、結局同じ作業の繰り返しになると、私みたいに腰痛になったりするので、一概には言えないと思う。

「社会の要請によって、働くということの意義が決められている」国家の要請もそうだけど、決して、自分の意志で100%仕事に対峙している訳じゃないのがここであらわになっている。

結局”やりがい”もそう思い込んでいるだけのふしがある。

「仕事である限りは、関係する人が必ず出てくる」分かっていたことでも、今の私には改めて認識できたことだが、それだからこそ、働くことが嫌なのだ(だからホッファーの考え方がしっくりくる)。

働くことの制約は、誰かの要請で出てくるものだが、小川さんは「生きていくため」だから、「支障が生じるなら、働くための制約は変える必要がある」という。 制約は”変えることができる”のか……。

これが新しい働き方のスタートかもしれない。

しかし日本人は「心配性」な人が多い。自分もそう。新しいことを思いついても(これは情報過多も原因があるかも)実行できない。既存の制約がおかしいと感じていても、イノベーションできない……。

AIとかグローバル化とか、働く世界の激変の中で、じゃ人間の仕事環境で残っていくものはと言えば「人間臭い」ものという。当たりまえと言っちゃそうだ。

小川さんの考えは、最終的に生き方論になる。AIを例に上記のようにいうが、最近私も考えるようになった。”しょせん、どうあがいても、人間は人間だよな”と感じる。読む本も、自然科学が多かったのは、人間じゃないものへの”うらやむ”逃げの感覚だった。

人間臭いとは、今までの自分に足りない感覚だった。

小川さんが「前提にしているのは、人間は不完全だということ」。

最終的にこの本で得たことは思いこむこと信じること。簡単に言うとポジティブになること。そう無理やり考える。それをトレーニングと言っている。それができるのは、不完全な存在だからで、逆に言えば可能性もあるってこと。

私みたいにネガティブな人間にはハードルが高いが、馬鹿みたいにしつこく思い込むことか(そんな天然な人が職場にいるが、羨ましい限り)。

ふと思ったのが、信じることは魂のエネルギーが必要だということ。

その時は「自分を愛する」ことを心がけるのか。労働でいえば、自分を酷使しすぎないこと。他人に対して気遣うのと同じように、自分をいたわる。

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